大人少年の趣味日記

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映画感想「ONODA」生きる意味、幸せとは

 こんな戦争映画は初めて見ました。多くの戦争映画は戦勝国は英雄を讃え、敗戦国は悲惨さを伝える脚本になっているかと思います。しかし、この映画はどちらに振ることなく、ただ淡々と小野田旧陸軍少尉のフィリピンでの戦争を描いているのです。

 

 知識として終戦後も戦争をしていた日本人が2人いた。ということは知っていました。小野田さんはそのうちの1人です。しかし、具体的にどのような命令を受け、どのように戦争をしていたのかということまでは、この映画を見るまで知りませんでした。そのため私はただ戦争に日本が負けたということを信じれない旧帝国陸軍軍人という認識でいました。しかし、それ以上の思いで戦争をしていたのだと認識を改めました。

 

 フィリピン・ルバング島での時間は約30年。軍人だからと、命令解除の命令を受けていないからと、そんな理由だけで戦争を継続できるものでしょうか。どう考えてもそんな事をできるとは思えません。しかし彼はそれを実行したのです。それができたのは「玉砕を許さない」「自分自身が自分の司令官であれ」という命令があったから。そして少ないけれども共に戦う戦友がいたからではないでしょうか。

 

 小塚さんと2人になってしまったあとの小野田さんには笑顔がありました。ラジオで情報を集めてまだ日本がアメリカと戦争している(と信じた)情報があったのも理由の一つでしょう。ただそれ以上に気の許せる戦友がいたのが大きかったのではないでしょうか。小塚さんが戦死する前と後では明らかに小野田さんが変わっています。戦死後、表情は無くなり、鈴木さんの呼びかけに応じているのです。実際どうだったのかは想像するしかありません。

 どんなに小野田さんから話を聞いても、小野田さんが戦った30年を知ることはできません。それでも小塚さんが戦死されるまでは呼びかけに応じることはなかったのではないでしょうか。それほどまでにいきいきとしていたのです。

 

 私は戦争映画を観た後は戦争の悲惨さを嘆くことが多いのですが、この映画はそうはなりませんでした。ただただ生きることとは何なのかということを考えさせられました。「己が己の司令官であれ」この言葉は今を生きる我々にも大切な言葉ではないでしょうか。どんなことがあっても自分自身の頭で考えて行動する。そうやって自分の力の限り生きていくことで、天井に張り付いた生き残った蚊になれるのではないでしょうか。
 そして人は1人ではいきれないのです。誰かと共にいるからこそ頑張れるのです。小さなことに楽しみ、幸せを感じれるのです。

 

 見るチャンスがあれば是非観ていただきたい作品です。30年という月日は一般の人が働くのとそんなに変わらない時間です。今あなたは、たたかえていますか?幸せを感じていますか?